暗闇をふわふわと漂うような感覚が、その物語を静かに貫く。不安感、とでも言おうか。
主人公はブランドンという米国人だ。母国の大学を卒業後、来日して英会話学校に勤めるが、さしたる目標もなく、気づけば3年がたっていた。
何となくレッスンを終えると、家路に就き、夜遅くに眠る。ただ、その繰り返し。
《はっきりとした目的地もなければ期限もない》
ブランドンがレッスンで教材として扱う、アポロ11号の渡航記録が作品を読み解く補助線となる。単行本の表紙には、くすんだ藍色の宇宙空間に地球が浮かび上がる。その周りを飛行する宇宙船の航跡がストーリーを暗示する。
(0)Comments