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[論説]棚田の価値再考 消費者との交流さらに

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棚田の価値を再考しよう。棚田は、米生産だけでなく国土の保全、水源のかん養、生物の多様性の確保など多面的機能を持つ。一方で高齢化、担い手の減少により、多くの棚田が荒廃の危機にある。棚田を、人と人をつなぐ場、地域活性化の資源と捉え、消費者との交流をさらに深めよう。 棚田の振興は、1995年の第1回棚田サミット、99年に始まった農水省の棚田百選を契機に、各地で保全活動が活発になった。2019年には棚田地域振興法が施行され、棚田を地域の宝とし、地域活性化につなげる取り組みが広がっている。25年には同法を改正し、地域の人材確保へ移住なども支援、推進する。 棚田の保全には労力がかかり、多くの地域で荒廃が危ぶまれる。傾斜地にあり、水田1枚当たりが小さく、大型の農機が入りづらい。あぜの草刈りなどの管理作業は人力に頼ることが多く、イノシシや鹿などの鳥獣害も深刻だ。全国棚田(千枚田)連絡協議会は「手間とコストがかかり生産効率は平場よりも劣る。高齢化で農家も減っている」という。棚田オーナー制も、地元の負担が重くなり継続できなくなるケースが出ている。 一方で都市部の消費者には、農村と接点を持ちたいという機運が改めて生まれている。米の流通と価格が混乱した「令和の米騒動」がきっかけだ。8月下旬に都内であった棚田サミットでは、消費者から棚田米と農家、農村への関心が高まっていると報告された。近い将来、安全・安心な食べ物が手に入りにくくなり、多様な食文化が失われる時代が来るのではという危機感も示された。作り手と食べ手の交流の重要性も指摘された。 消費者との関わり方に工夫も見られる。三重県は、ふるさと納税ポータルサイトで「みえの棚田」を次代へつなぐことを目的にクラウドファンディングの寄付の受け付けを始めた。寄付額100万円を目標に募り、棚田周辺の老朽化した水路の整備補修、休耕田の草刈り、荒廃農地の拡大防止などに充てる。県外在住者には、返礼品として寄付金額に応じて棚田米を送る。 地域や農家の思いを消費者に届けるには、行政の連携も欠かせない。移住者や学生、地域おこし協力隊、外国人実習生ら多くの人が棚田に集う仕掛けをつくってほしい。 棚田での米生産がなりわいとして成立し、交流を通して生産者と消費者と対等な関係性をつくることが、地域存続の道となる。棚田には食料生産だけでなく、多様な価値があり、棚田地域振興法が掲げるように「貴重な国民的財産」である。消費者に棚田の美しい景観は日本の文化の象徴だと思ってもらえるような深いつながりをつくろう。
[論説]棚田の価値再考 消費者との交流さらに
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